『童貞。をプロデュース』
ロードショー直前に「日本の40代男性の1割は童貞」なんていう余計で下世話なニュースも流れちょっとだけ話題になった映画『40歳の童貞男』がちっとも面白くなかったのは、単に僕がああいうラブコメ(死語)が嫌いというだけじゃなく、映画の中での童貞(Virgin)が単にそういう状態の人というだけであって、その「童貞なんて非人間的な」状況を抜け出して愛する人を見つけて幸せになることが本当の幸せなのよ、的なものにウンザリしたからだと思う。嘘くさ過ぎる。アメリカ人はあれでもいいんだろうけど、僕らはやっぱりそうじゃない。童貞はそういう状態を指すのじゃなくてそういうメンタリティのことを言うのだと思う。伊集院光で言う所の「(童貞)気質」だろうか。
と、いうところで話題になっていた『童貞。をプロデュース』を見て来ました。
その状況を決して良いとは認識していない(悪いとも思ってないけど)が他者とのコミュニケーションの苦手さと、「そんなことはないよ」と自分に言い聞かせる為のプライドと、さらにそれすら気付かせないように理論武装された理屈と、そんなのに取り囲まれ(自らその中に飛び込む人も多いけど)て生きている彼らは、痛々しくもあるけどやはり愛すべき人たちで、なんか別にもうそこから出なくてもいいよ、と思ったりしながら映画を見ていました。別に出たって特に何かいいことなんか起きるわけじゃないし、「目の前のセックスより、脳内の純愛(『電波男』本田透著)」という気持ちもわかる。なんか監督も無理に童貞を卒業させるより、その世界に生きた方がいいんじゃないか、と思ったのか途中からもうプロデュースすることすら放棄して、episode2ではもう単に編集しかしてないし、全体を通したグダグダ感含めスゴイ面白い、というか痛ましい、というか、身につまされる、というか心響くものがありました。
episode1のKくんは結局彼女も出来たけどビデオカセットのコレクションはそのままだし(笑)、壁には「セシル・Bシネマウォーズ」とか痛い(僕が敬愛するジョン・ウォーターズの映画作品、大好き)ポスターが張ってあったり、同じく「エレファント」のポスターが張ってあったりとかシュミが近いのも親近感湧く。episode2のUくんはもう単に好きになっちゃった人がついてなかったんだと思う。可愛いけどリアリスト過ぎる。もっと理解ある人はちゃんと出てくると思うよ。まあ彼自身は別にそういうことに絶望してるようでもないようだけど。
それにしてもこういう日本人の童貞気質的なものって、wikipediaにもある「日本特有の文化依存症候群」としての「対人恐怖症」と繋がり深いんじゃないですかね。なんかそんなこと最近よく思います。僕もそういうのに近いところに生きているので。
話変わって、今回もすごい良い映画だったけど、最近こういう映画を見に行こうと思って友人を誘うも一緒に行ってくれる人が本当にいなくなってきた。こんなアングラ青春作品、もういい加減卒業しなよ、と言われたりもする。それこそUくんが好きだった女の子が言うセリフとシンクロする。
「もう青春でもないでしょう。社会人なんだし。」
でしょうね。まあいいです。
あと映画館の池袋シネマ・ロサって風俗街の真ん中にあって、男一人で歩いてると「どう!お兄さん、キャバクラは?」とか「もう今日は予約入ってるの?良い子いるよ」とか声がかかるような立地なんだけど、今日はまたそんなところにこれまた薄幸そうな男どもが列をなしていてちょっと面白かった。お前らも頑張れよ、と。まあ僕もその一人ですけどね。
あと最後にちょっと映画館に。予告編長過ぎです。気持ちはわかるけど、レイトショーなんだから終電早い人のことも考えてくれると助かります・・・
文藝春秋 (2003/05)
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